マイナンバーカード

重い腰を上げてマイナンバーカードを申請したのが昨年11月。
何故腰が重かったかと言う一番の理由は、そんなもん、制度化したいなら、さっさと作って配ればいいじゃないか、それを何故、ポイント付与で釣ったり、健康保険証と紐付けすると脅して?「自主的に」申請させようとするのか? 幾ら釣っても、或いは脅しても、申請しない人は一定数残るのではないか? それでは本来の目的を達しないのでは??

等々思ってたからですが、本来の目的は何なのかというのは取り敢えず置いといて…

申請してから待つこと約2ヶ月で受け取りの案内が来て、そこから更に受け取りの予約を取って、先日無事カードを取得。

受け取り自体は予約制でスムーズに終わったんだけど、その後マイナポイントの手続きが待ち時間1時間超の渋滞…
手続きはネットでも出来ることになってるけれど、事前にサイトを見た限りではイマイチはっきりしないところがあり、その辺をクリアにするには直接聞いた方が早いと思って行ったので、覚悟を決めて順番を取り、まあ待ち時間は一旦外に出て、その他諸々の用事を済ませる事にした。

戻って来たら丁度順番が来てて、それは良かったんだけど、これが何の順番だったかというと、手続きの前の説明の順番だったのですね!
そう、手続きする人の他に、事前説明するスタッフがいるのですよ!!
で説明聞くと、確かにこれは、手続きをスムーズに進める為に必要なステップだ…

座って待ってる人の間をしゃがんで回って、同じ説明を繰り返しすスタッフの方が気の毒になるくらい、複雑なシステムだ、マイナポイント…

ようまあこんなややこしいシステム考え出したもんだというか、どんだけ頭のいい人が考えたんだというか…(念のために補足すると、「頭のいい」というのは皮肉です。本当に頭がいい人は、もっとシンプルでメンテも簡単なシステムを作るんじゃないかと…あくまでも想像ですが)

でも考えてみると、スペインでは元から身分証明書制度というのがあり、その後確かEC加入後に税務番号制度が出来て、更に健康保険証カードが電磁化されたのは1990年代だったか?
日本はこの3つを同時にやろうとしてる訳で、そもそもその辺に無理があるんじゃないかと思えて来た。
フラッシュバック・スペインの《5. アイデンティティー(抜粋)》にも書いたように、健康保険証カードが電磁化された時には、私のところに2枚番号の違うカードが送られて来たりとか、かの国でもデジタル化による混乱は色々あったではないか!
…というような事も思い出し…

実務に携わる方達には本当にご苦労様と労いたいけれど、以下マイナンバーカードの矛盾又は疑問と個人的に思ってる事を幾つか。

先ずマイナンバーカードを身分証として最も有効なものにするには、健康保険証と紐付けだの運転免許証の代わりだのって言う前に、印鑑登録及び証明制度を廃止しなくては意味ないんでは?
これがある限り、重要契約等には印鑑登録やその証明が必要になるわけで、それをマイナンバーカードで簡単に取得できますよと言われてもねぇ…

それから、スペインの税務番号カードや健康保険証カードには、少なくとも20年前には顔写真なんて付いてなかった。
そしてスペインで税務番号制度が導入された時には、個人と法人のいずれにも税務番号というのが割り当てられ、個人の場合はそれは身分証明書番号と同じだったのですが、番号が割り当てられるのと同時に、銀行口座の保持や新規開設、そして請求書、領収書、その他金銭のやり取りに関する正規の書類にはこの税務番号が必須となったのです。
それを日本のマイナンバーカードのように、個人の公金受け取り口座のみポイントで紐付けさせても、その他の口座はフリーっていうんでは、どれほど意味があるのか??
個人でない会社や団体、お店はどうなの??

最後に健康保険証カードについては、日本とスペインの医療保険制度が違うので単純比較できませんが、彼の地では住民皆保険制度で診て貰える公的診療所や病院にカードの読み取り機がないという事は考えられない。健康保険証カードの電磁化と同時に、これら全てに読み取り機その他必要な設備は配置されたと想像する。
(民間の医療保険会社では、それぞれ独自のシステムとそのデジタル化をやってるでしょう。)

とまあ、色々書いたけど、マイナカード受け取りの顛末を在スペインの日本人にLINEで報告したら、「スペインだったら1日では済まなかったと思う」「日本は何でも丁寧ですよね」と返って来た。
丁寧というよりバカ丁寧なところもあると思うけど、考えてみるとスペインでも、上に述べたような情況は約20年前のもので、その後のスマホ化などはどうなったのか知らないわけだわ…
20年前のスペインと、失われた30年後の日本を比較しても意味ないか…

とは思ったものの、でも最低2つの暗証番号を設定して、しかも5年後には設定変更しなきゃいけないなんて、やっぱりややこし過ぎる制度だ。
それにかかる手間や費用はどれ位なのか、想像もつかないけれど、申請ベースでは全員に行き渡らない事も考えると、これは早晩立ち行かなくなるシステムなんでは………???

 

追記: そういえば、遥か昔のスペインでは、スリに遭った時など、スリも身分証明書の再発行が面倒なのが分かっているので、財布から現金を抜き取った後の財布とか、身分証明書カードだけを郵便ポストに捨てるっていう話があったっけ…と思い出した。
初めて財布を擦られた後(フラッシュバック・スペイン 《13. セキュリティ》を読み返してみると、1981年頃の話です)、財布に身分証明書は入ってなかたけど、気に入っていた財布だったので、郵便局の遺失物係?とかに行って聞いたような気がする。
でも日本のスリにはそういう伝統はないよね…(2023年2月14日)