人は何故自分史を書くのか

母は未完成ながら、途中までは結構まとまった自分史を残した。
父は一時期パソコンで自分史を書いていたようだが、結局何も残らなかった。
誰でも「かっこいい」(時には「面白おかしい」)自分を残したいという気持ちは自然かと思うけれど、父は多分、気取り過ぎたのだ。
色んな事をもっとありのままにストレートに書いていれば、何か残ったのかもしれない。

いずれにしろ自分史を残したいと思うのは、周りの人間が知らない自分があると感じるからでしょう?
普段から自分の話を聞いてくれる人が側にいれば、わざわざ書いて残す必要はないのでは?

そういう意味では、子供、孫、そして未だ見ぬひ孫へという前書きを残した母も、自分の話を聞いてくれる人が居ないと感じていたのではないか?

人が歳を取るという事は、幼かった頃、若かった頃の自分を知っている人が、ひとり、またひとりと減って行く事でもある。
だから年老いて、人は自分史を書く。