Alma nómada

かつて「蜃気楼を掴まえた子供」という題で別のところに書いた記事〜〜

子供の頃に叔母からもらった戦前の岩波少年文庫が何冊かある。
その1冊、青表紙の高学年用で「夢を追う子」というのは、確か原題は「マーティン」とかいう主人公の名前で、でも訳者が邦題を「夢を追う子」にしたという説明があった。

有名な(少なくとも昔は有名だった)「緑の館」と同じ著者が書いた小説で、やはり南米を舞台にしている。
今思うと多分パラグアイとかアルゼンチンとか、その南の方の原始的な一帯の感じがする。
ストーリーは、イギリス?から移住してきた家族の子供が、自然を友に遊ぶうちに蜃気楼を見て、それを追っかけて行ってしまう話。
写実的には迷子になっちゃったというところなんだろうけれど、「緑の館」の作者だから、写実的ではないのだ。
蜃気楼に魅惑されてどんどんそれを追っかけて行ってしまう子供がその道中で出遭う出来事が幻想的に綴られたファンタジー
大人だったら蜃気楼は幻だと知っているので、追いかけようとはしない。
でもマーティンはその奇麗なものが何か知りたくて、只ひたすらその後を追っかけて行って、そして蜃気楼に追いついてしまうのですね。
で蜃気楼の女王様が、「お前は遂に私たちを掴まえた。その褒美として一生旅を続けるようにしてやろう」というような事を言うのですよ。
安住の地を持たずに彷徨い続ける人生っていうのが、罰ではなくて褒美だというのがスゴくない? と若い頃は思ってた。

ただひたすら掴まえたいものを追いかけて行った子供へのご褒美〜〜

ひたすら掴まえたいものを追いかけては行けなかった、迷ってばかりで正に alma nómada な人生だと思う今日この頃。